

金融機関は、事業を継続するために必要な収益確保を図りながら、常に様々なリスクと向き合っています。リスク量が過大に膨らめば企業としての健全性が損なわれてしまうので、金融機関ではリスクの正確な測定とコントロールを実施して自己資本を管理しているのです。
農林中央金庫におけるリスク管理を統括する部署が、統合リスク管理部。その中で私は、金庫が抱えるリスク量が、あらかじめ使用すると定められている自己資本額の範囲内に収まるよう管理しています。たとえば、1994年の金利上昇やリーマンショックなど、世界的な金融不安を想定したストレステストを実施。そして自己資本比率をシミュレーションして、その結果をレポートにまとめるなどの作業です。
農林中央金庫では、リスク管理態勢や自己資本管理体勢に関する重要事項を経営陣が協議する場として、統合リスク管理会議を開催しています。そこでは、統合リスク管理部のメンバーが揃えた情報や資料が判断材料となることも多く、責任を感じずにはいられません。
2007年3月末から、「新しい自己資本比率に関する規制(バーゼルⅡ)」が導入されました。この規制は、金融取引の多様化・複雑化やリスク管理手法の高度化といった時代の流れに合わせて、リスク計測の精微化や情報開示の充実等、健全性規制の枠組みを現代化し、進化させた国際的なルール。現在でも、自己資本の質や量、会計基準、金融監督制度などのグローバルスタンダードが、各国の間で議論されています。このように、世界の金融機関は大きな変化の渦中にあり、同様にリスク管理の重要度も高まっているのです。
私の父方の実家は、ぶどう園を営んでいます。ぶどうが作られ出荷されるまでの苦労をすぐそばで見てきたことから、第一次産業に貢献する仕事がしたいと思うようになりました。いま私が現在携わっている自己資本管理という業務が、第一次産業と直接関わっているわけではありません。しかし、農林中央金庫が金融機関として事業を継続していくためには、企業として万全な経営体力を維持することが何よりも大切。そのことを常に念頭に置いて、仕事に取り組んでいきたいと思っています。